窓・壁

そりゃもちろん、暑い時期は窓なんか閉め切って冷房を効かせるに決まっていて、かといって寒い時期は寒い時期で暖房が要るからやっぱり窓は閉まっているはずで、当たり前にもほどがあるけれどあらためて、こうやって夏のくたばっていく日々のいくつかを外に…

近況

なんとなく昼間見始めた映画が、ついたり消えたりして九時ごろ、ようやく半分くらいまで行ったあたりで、演出上の都合ではさまれた静けさに、釣銭が6枚落ちる音と缶のプルトップが起きる音とひとの咳、爪、たぶん人差し指の、が薄っぺらいアルミ缶をかつかつ…

旅行

そこから帰るのには六時間かかる。各停しかないローカル線をつかって新幹線の通る駅まで、おなじ電車に三時間乗り続ける。中学生だか高校生だか、集団で乗り込んできて人口密度が増したから、知らない街で買った真新しいシャツがまた汗に湿った。網棚の上に…

こい緑がぼくを

山の天気は不安定だ、窓の外で雨の急に強まるのが聞こえて、びっくりしてカーテンを開けると赤い折り畳み傘をさしたひとがそこの大通りを左へ歩いていくのが見えた。たとえ天気が良かったって今日はなんにも出かける用事なんかないし出かけたい気持ちもない…

五月

音楽の途切れた部屋になにか生きものの息遣いみたいな音があるのに気づいて、皿を洗いながらちょっと怖くなる。洗濯機の回っている音だと気づいたときには逆にもっと怖くなった。ついさっき自分で回したのに忘れていた。来てすぐ、自分で洗濯をすることに慣…

クリープ

部屋にはベランダがないので洗濯物を干すとなると窓のそばにかかっている2メートルくらいの物干し竿に昼間洗濯物を干して、寒かったり暑かったりしない限り窓を開けておき、ぼく自身は風が直接当たらないベッドのほうで音楽をかけて本を読んだりしている。…

四月

今日は一限から授業で、眠いし寒いし行きたくないんだけど仕方ないのでぼちぼち大学まで自転車を漕いでいた。大学構内に入って、桜の木の並んで立っている下り坂に差し掛かり、さっきまでの長い上り坂で乱れた息を整えて視線を上にあげたら、どの桜もやたら…

たぶんエアコンの室外機とかそうでなければ観葉植物とかを置く為のものだと思うんだけど、窓から外に付きだしたベランダのミニチュアみたいな空間がある。小学生の頃帰り道に買ったコーラの缶をなんでかそこに置いて、今もそのままで、強い風が吹いて窓ガラ…

東京

東京駅の角っこにあるスターバックスでスーツ姿と並んで本を読んでいたら、音程のないぼやぼやしたパイプオルガンみたいな音が急に聞こえてきて、なにかと思って耳を澄ませると、どうもそれは高速バスから降りて駅に一挙に入ってきた人たちの足音や声が駅の…

卒業

駅の切符売り場で、ぼくは財布をさがして鞄を漁っている。探す時間が長引けば長引くほど、ああぼくはかっこわるいなあと心底惨めな気持ちになり、焦るというより脱力してしまい、さらに見つけるのが遅れていく。イヤフォンから流れてくる8ビートにイラつい…

トラベルプラン

ようやっと受験が終わったっていうのに解放感とかは別になくて、そりゃここ一ヶ月勉強してなかったから当たり前なんだけどなんとなく拍子抜けしている。 思ったより簡単に終わったしあんなに思いつめなくてよかったなとか、結局またまじめに頑張らないままや…

整理

「部屋」というタイトルの記事にしようと思ったんだけど、おんなじタイトルで前に書いてたので、やめた。まだ一人称に「私」を使っているころのやつだ。読みかえすと恥ずかしい。思えば、ずいぶん性分に合わないことをやっていた。なにも言いたいことなんか…

冬/街/これからの生活

冬が好きだ。十二月のつめたい空気と明瞭な陽の光のなかでは、自分自身の輪郭も、いいかげんみすぼらしくなってきたコンバースの汚れ、ポケットでくしゃくしゃになったレシートの感触、ベンチに座る女の子の烏色のコートのほつれ、バス通りに流れ込む車のエ…

バースデイ

誕生日だ。18歳になった。でもきのうの風邪がまだ続いている。熱は引いたけどなんとなくだるい、くらいの中途半端な体調で、自分の体ながらなんだか居心地がよくない。べつにパーティがあるわけでもなし、問題はないんだけど、ちょっと幸先わるい。 学校を…

十月

今日は体育大会だった。残念ながら晴れた。遺憾ながら健康だった。ので、行った。 すこし走って、やや跳んだ。あとはじっとして長いこと本を読んだ。盛り上がる応援席のすみっこで、ひとりだけ葬式会場にいる( 葬られる側で)みたいな顔で村上春樹を読んで…

言いわけ

また小説を書いた。掌編にも満たないくらいの量だけど、時間はけっこう喰ったはず。思いついたふたつのフレーズの間を埋めて文章にする、って手法をつかってみた。それが時間喰った原因かも。でも、浮かんできたことばからイメージを膨らませてそれを入れこ…

火曜日/保健室

「 保健室行ったって先生に言っといて」 「 わかった」 三限目と四限目の間、九月六日最初で最後のクラスメイトとの会話を終え、るんるん気分をひた隠しに、ふだんから辛気くさい顔をさらに辛気くさくさせて教室を出る。完璧に踵がつぶれて外目にもスリッパ…

混線と五か月

首を振る扇風機と蛍光灯の青白い光、窓から吹き込む夕方の風と赤い斜陽、人造対自然、ぼくの部屋で繰り広げられる二対二のデスマッチは、扇風機のコンセントを引っこ抜いたぼくの介入によりあっけなく終焉をむかえた。 扇風機の風にあたっているとなんとなく…

雑記

書くことはとくにないけどなんとなくブログが書きたくなる。そういうこともある。 こないだ小説を書いた。なんとなく構想を練りながら、これ途中で投げるかもしれないなーと思ってたんだけどちゃんと終れた。一気に書いたのがよかったんだと思う。小説の文章…

扇風機

きのうの夜、扇風機の前にすわって、その羽の回るのをぼーっとながめていた。無意味に限界までひねったタイマーが律儀に百二十分きっちり計ってて申し訳ない気もちになった。 扇風機が規則的に首を振る。その姿はとても健気だ。こんなに感情移入のしやすい家…

咀嚼

先日、歯医者に行って虫歯を直してきた。計三本。ついでに歯石も取ってもらい、磨き方が雑だという注意もいただいた。ぼくはむかしっから歯について無頓着だ。適当な歯ブラシと適当な歯磨き粉で適当に磨いている。 毎日使うものなんですから、って先生は言っ…

「シン・ゴジラ」を観た(メモ)

すごい映画だった。ほんとうにすごい。すごすぎてみてる間「すごい」ってことばすら浮かんでこなかった。ただ放心状態で「シンゴジラ……」って思ってた。 未だに考えがまとまってなくてきちんとした記事には至りそうにないんだけど、かといってツイッターのほ…

ねむすぎる

世界史の予習。たいくつだ。ぼくは趣味の傾向をかんがみるとふしぎなくらい歴史に興味がない。歴史ってのをどう楽しめばいいのかいまいち、わからない。知的好奇心とかもあんまりないし。自己実現がないから知ろうともしない。 「うそみたいな歴史的事実!」…

展望

こないだの三者面談。志望校を決定した理由に、雰囲気、と答えたら、もうちょっと将来のことを考えてみたらと、軽く呆れた顔で担任の先生がいった。 雰囲気じゃだめですか、と聞くと、いやだめじゃないけど、さすがになにも考えなさ過ぎじゃないかな、と。母…

Don't Summer

一昨日。三時間睡眠のいちばんハッキリしない頭で自転車を漕ぎ、終業式の小一時間を爆睡、帰りに友人の家でスマブラして。帰り道を自転車でたどりながら、そういえばそろそろ八月だな、っていうか今日から夏休みだな、って、五時を過ぎてもまだ日の沈んでな…

技法

昨晩えらく陰鬱で混乱した記事を書いてしまったので今日は混乱しながらでも比較的ゆかいなことをかいて記事にしようと思う。 ひどく弱っちいぼくの自意識でものごとを左右させるのはひどくむつかしく、逆に自意識のほうが左右されてしまうのが常だ。自分で書…

くだ

中学の頃からの友達とひさびさに会って、出かけ先でいろいろ話した。 あっちには夢があって、そのためにいろんな苦労をして、学校もやめたりした。苦手な長期的な計画とか、同年代のまわりにいない孤独とも、がんばって戦いながらちょっとずつ自分の場所を作…

逃げろ

夜中の自己嫌悪の膨張がいよいよ耐えがたくなって、勉強しようって倫理の教科書を開くけど、机に向かうのがつらいので、枕を持ってきて床にひっくりかえって読む。円い蛍光灯の光に透かされた指のさきの爪が思ったより伸びている。こないだ切ったばっかりな…

まわる

中古で買った文庫本に栞がはさまっていた。片面には出版社のロゴマーク、その裏には名まえもしらない「 高名な学者」の名言が印刷された、ぺらぺらなやつ。じゃまだったので片手でぽいと床に投げたら、栞はくるくる回転しながら落ちた、その細長い長方形を縦…

「 ライオン丸G」を観ました

ビデオ借りてちびちび見てたのがようやく最終回まで漕ぎつけたので感想を書きつけておきます。結論だけ先に書くとおすすめはしません。おもしろかったけど。 特撮ヒーロー番組っていったらだいたい仮面ライダーとかスーパー戦隊とかウルトラマンとか、子ども…