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春期休暇

雑記

おとといが学校の修了式だったから、今日でもう春休みも二日になる。

しかし40日近い圧倒的な長さを誇る夏休みや年越しという一大イベントをもつ冬休みに比べて春休みというのはちょっと地味すぎると思う。3月下旬~4月上旬って、花見に行くには微妙に早い時期だし、20日弱という期間も、なにか目標を立ててそれを成し遂げたりするにはあんまり短すぎ、かといって無為に過ごすにはちょっと長すぎる。そのくせ宿題は一丁前に出てくるのだから憎たらしいことこの上ない。

物語においても、春休みというのはなかなか舞台とはならない。学校世界のうちで語られる物語はたいてい、長い場合は春休みの終わりとともに始まって次の春休みの始まりとともに終わり、短い場合は夏休み中に始まって夏休み中に終わる。春休みなんてのは架空世界でだって物語の在り得ない期間なのだ、ましてや、この春休みの主人公は世界最大の物語群生地・夏休みにすら何もなさすぎてただ薄暗い自室で人生哲学をこねくり回して変なかたちにしてネット上に公開したりしていた私だ。逆に、何なら起こりえるのか。誰か教えてほしい。

だいいち、私は春という季節が嫌いだ。死体の上に根を張るおぞましい植物の花が咲き乱れ、新生活だの入学式だの言って慣れた土地や落ち着いた生活から離れなければならず、人も獣も暖かさに浮かれ、所も構わず繁殖行為に必死だ。テレビをつけても松任谷由美の『春よ来い』の明らかに本人の歌唱力を超越したメロディに乗せて文語と口語の入り混じった居心地悪い歌詞が流れている。

春はいつだって我が愛しき冬を打ち破り、寒さを言い訳に体を縮めて家に閉じこもり生産性のない物思いにふけっていた私に、開放的であれ、外へ出ろ、なにか新しいことをしろ、と強制する。春は私に内省的であることを許さない。その点、暑さでおかしくなった頭で自己嫌悪をいじくり回せる夏や、誰彼かまわず問答無用でおセンチの沼へ引き擦り込んでくれる秋のほうがずっとマシというものだ。

しかしそんな嫌な春休みだが、終わってしまうのもそれはそれで困る。なぜかって、これが終わったら私は三年生へ進級して受験シーズンへ突入してしまうからだ。まったくもって、陰鬱である。つらい。だるい。こういうのを十三階段を登る心持ちというんだろーかとか、でも結局ただの被害妄想だよなとか考えながら、参考書も開かないでアニメ観て小説読んでごろごろして。そんなこんなでたぶんまた何一つ成し遂げないままに、高校最後の春休みも終わる。