カラオケは煉獄

私は集まるオタクが嫌いなんだ。とくに学生の。あいつらはオタク趣味を持たない運動部とかの高校生とたいして変わらないしなんならそれら以上にタチが悪くてそれら以下の魅力しかないくせに、自分以外の高校生の正しさを認めず「 自分たちは普通とは違うのだ」と思ってやがる。

その中でも部活やらサークルで集まっているオタクはいちばん嫌いだ。スポーツとか楽器とか練習する根性も部活でやりたいこともクラスの教室で一対一のコミュニケーションから交友関係を作っていくスキルもないくせしていっちょまえに「 仲間」だの「 居場所」だの求めてとくに何もしないオタクばっかりの部活に所属し、自分と同じくらいみじめな同年代と集まって傷をなめ合って安心して。アホか。

とかなんとか。そういうことに気付いたときにはもう後の祭りで、私が「とくに何もしないオタクばっかりの」文芸部に所属してからすでに二年が経過しており、私の嫌いな集まるオタクたちが私の嫌いな大人数でのカラオケに出かけ私の嫌いなふうに盛り上がる「 新入生歓迎カラオケ大会」という名の私の心の中の悪魔を召喚する儀式の開催が一日後に迫っていた。本気で憂鬱だった。

 

文芸部のことを考えるたんびに「ミスったなー」と思う。創作について語る文芸部員も彼らの創作も恥ずかしくて見てられないし、ノリにもついていけない。ぼくは自分でつくるのが苦手で、それより受け取ってとやかく言うほうが好きだから文芸部である意味もない。とりあえず〆切が来たら書評とか即席の掌編小説とかポエム(笑)とか出しているけどそれもそんなに楽しくない。完全に所属する集団を間違えた。というか集団に所属するという選択自体が間違っていた。なんにもしないで家でぼーっとしていたいならそれはそれできっぱりと帰宅部になってしまえばよかったのだ。

わかってはいる。私と私の忌み嫌う彼らとの違いってのは「 文芸部を嫌っているか否か」ってだけ。ばかなのは自分のいる環境をわざわざ積極的に嫌っているこっちのほうで、悪いのも自分が所属する集団の選択を間違えたこっちのほうだ。彼らと同じくスポーツとか楽器とか練習する根性も部活でやりたいこともクラスの教室で一対一のコミュニケーションから交友関係を作っていくスキルもない私があすこに所属するのを決めた理由は、帰宅部になるのがなんとなく嫌だったからだ……と、今まで言っていたけれど、たぶんそれは建前で、本当はやっぱり私も仲間とか居場所とかいうのが欲しかったんだろう。そしてその居場所づくりに文芸部で失敗したから、その理由をここまで書いたみたいな愚痴でもってあっち側になすりつけている。

そんなぼくでも歓迎会にきちんと誘ってくれる後輩たちはやっぱり私よりもえらいし人間的にきちんとしている。最初に書いたみたいな彼らの醜さはたしかにひどいものだけど私はそれよりもさらにひどいのだ。っていうか卑屈だなこの記事。ひさびさの更新がこれはひどい。私自身の人間性よりなおひどい。

 

まあだいたいそんなこんなでぼくは、あとで後輩にいろいろ言われるのを覚悟して「 寝てた」とごまかしドタキャンする決意をかためて、友人と出かける予定を組み、そして自分より人間性の面で勝る文芸部の面々をせめて学力だけでも上回ってやるため、大学受験に向けた勉強をした。三十分だけ。