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アナーキー・イン・ザ・1K

勉強がやだ。でも受験滑りたくない。いまぼくのこころの地平ではその二つの気持ちが完全に拮抗・激突している。その激戦の余波が、ますます栄えていく幼稚性の都市とゆるやかな発展をみせていた文学性の集落に壊滅的な被害をもたらす。なにもない荒野が拡がってゆく。twitterアカウント@Hashikawa119の全ツイートのうち勉強したくない旨のツイートが占める割合はどんどん増えていく。そのうつろさを題材にポエムでもしたためてみるかと試みる。数分で恥ずかしくなって全部消す。たまに受験滑りたくない気持ちが優勢となり部屋に篭りバズマザーズ「 東京デマイゴ」を爆音で、「 誰もひとりじゃない系の歌、山田亮一、嫌いそうだ」と考えながら流し、机に向かい積読を苦心してどかしてスペースを作り参考書を開いてみる。でも五秒で勉強がやな気持ちが盛り返してこころはまた空虚に支配される。もはやラノベや漫画も開けずただ床に寝ッ転がる。仰向けだと天井の蛍光灯が眩しいからうつ伏せになる。胸が床と密着してこの心臓の鼓動が体に反響しああぼくは生きているんだなとむりやり感動しようとしてみるけどまあ無茶な試みだ、自分の命の駆動を忘れるほどなにかに夢中になったりしているわけでもない。とりあえず顔を横に向けて眼を閉じて寝ようとしてみる。無理。眼を開ければこないだ片付けてだいぶ物が減った床だが埃がずいぶん溜まっていることに気付く。ロボット掃除機「 ぐるぐるくん( 命名:母)」を連れてきて駆動させる。彼の邪魔にならないようにと部屋を出て、ぼくは自分の部屋ですら邪魔な存在なのかとむりやりネガティヴになろうとするけどまあ無茶な試みだ、自分の存在すべてを否定するにはぼくはちょっと暢気と傲慢が過ぎる。リビングへ移り、まるで勉強をして疲弊したかのような顔を母親に見せつけながら何もしていないのに疲弊しているこころをコーヒーをがぶがぶ飲んで癒してまた戻る、参考書を開く、床のロボット掃除機が既に掃除を終えている地点に寝ッ転がる、寝ようとする、やめる。ロボット掃除機は「 邪魔だよ、おまえ」と言わんばかりにぼくの腰を連続してつつき、ぼくは「 さっきお前ここ通っただろ、ばか」と思うが口には出さないで黙っている。部屋がくさいことに気づく。ただでさえ淀んだ空気が床近くに溜まって澱になっていて窒息しそうだと思う。近所迷惑にならんようにとバズマザーズ「 軽蔑ヲ鳴ラセ」の爆音を、「 タイトル、警鐘を鳴らす、って言い回しからの連想かなあ」と考えながら止めて、窓、ふたつあるうちのひとつを開ける。涼しい夜の風が吹き込んできてすこし救われたような気持になる。散歩でもしてやるか、と思いつくけど、母親に心配をかけるのは本意ではないので、やめとく。とりあえずもうひとつの窓と、廊下につながる部屋のドアも開ける。網戸も窓がらすも汚くて夏中に一回掃除をしなくちゃなーと思う。もうPCの排気音しか聞こえないがまだ脳内で山田亮一の聞き取り辛いがステキな日本語とうるさすぎるテレキャスターの音色が流れ続けている。眼球は天井の角の白さを焼きつけんばかりに見ているが頭の中では行ったことないバズマザーズのライブの光景が浮かんでいる。あーくそ、勉強やだなー。