展望

こないだの三者面談。志望校を決定した理由に、雰囲気、と答えたら、もうちょっと将来のことを考えてみたらと、軽く呆れた顔で担任の先生がいった。

雰囲気じゃだめですか、と聞くと、いやだめじゃないけど、さすがになにも考えなさ過ぎじゃないかな、と。母親はびみょうな顔で押し黙っている。大学出たあとどうするかー、とか、自分になにが向いてるかー、とか、考える? って聞かれたので、考えませんね、考えすぎちゃうんで考えないようにしてます、と答えた。先生はまたちょっと笑って、次の話題に移った。

提出物が出てない説教。すなおに謝った。

 

大学受験の天王山と呼ばれる夏休みのスタートをきちんとできるよう、とりあえず勉強場所を変えてみる。ぼくと母の家から父親とその恋人の家族の家へ、一週間ほど。

実際にするしないにかかわらず勉強しようと思えばどうしても家にいなければならず、そうするとだんだん気分が閉塞して堕落なものに惹かれやすくなってしまうので、それを防ぐためにもいちど周囲の環境を大きく変えてみるというのは大切なことだと思ったからだ。あとこっちには漫画やゲームがないので単純に勉強に意識が向きやすいということもある。

 

移動はきのうの夕方だった。参考書、荷物、それから一週間分の文庫本を詰めた荷物はおそろしく重く、ふだんクリアファイルと筆箱と本一冊くらいしか入っていない鞄で通学している身には、それを携えての一時間の電車での移動は厳しい、それだけで体力をつかった。きのうかなり気合を入れたのに二時間くらいしかできなかったのはそういうことだ。と、思いたい。

着いたら、空き部屋を割り当てられた。きのう無理やり片付けたのだという父。なるほど、二段ベッドの二段目がひどい有様だった。参考書は窓際の棚の上、着替えは机の下の鞄に詰めてと、置き場をきめて荷ほどきをする。やったことないけど居候みたいで、ちょっとわくわくする。

 

居心地は上々。母親の飯が食べられないのは残念だけどこっちでもそこそこのものはもらえるし、家の人は受験生ってことでむしろ過度すぎるくらい気を使ってくれるし、あとなんてったってクーラーがある。

クーラー。ぼくと母のふだん住む家にはないので、自分は暑い寒いには強いって思っていたけど、そこにあってその操作が自分に委ねられてるとやっぱりつけてしまうから、案外そうでもないのかもしれない。なんとなくちょっと暑い、を、明らかに涼しい、にしたくなってしまう衝動。クーラーの魔力は恐ろしい、ぼくみたいのがいるから地球温暖化なんてのが起こるんだろう。って思いながらまた設定温度を下げちゃうんだけど。

 

で、勉強。進んでない。

twitterのようすをみていただければわかると思う、めちゃくちゃネットサーフィンしてる。なんでかっていうと机の上に使い放題のPCがあるからだ。これがやばい。ほんとうにやばい。椅子に座るとPCひらいちゃう。しかも部屋超涼しい。エアコンとPC、人間の堕落癖を現出させるゴールデンコンビだ。とりあえずPCから離れようとベッドに寝転がると寝る、確実に寝る。逃げ場がない。やっぱり娯楽の有無はぼくの勉強量と全然関係ないんだなと改めて痛感する。

環境は何も悪くない。ぜんぶぼくが悪い。

そのことに気づくのすら、十七年かかってるのに、自分がどう生きるべきかなんて、なー。