Faces of Strummer

 窓のそとを流れていく、車のヘッドライトや街灯のまぶしさに塗れたコンクリートのうえの雨を見るためにこのバスに乗り込んだんだったらよかったのに。なんにも考えないで無造作に席に座っている、ぼくはこまかい動作でいちいちかっこつけなくなって、かっこつけられなくなって、ていねいさを心がけなくなって、それはべつにいいことでも悪いことでもないしいいとか悪いとか考えてはならないとまで、思うには思うけど不可逆的にさみしい。ぼくは19歳になって町は冬になって雨がやまないからバイト先の近所に自転車が置きっぱなしになっている。

 最近は小説をまた少しずつ読むようになって、文章のこととかをぼちぼち考えることもあり、来年から大学でフランス文学をやるのがどうも決まったらしいのもあって脳の容量をけっこうそっち方面に割いている。それは全然いいんだけど部屋が片付かないのも外食が多いのも飲酒しすぎなのも欠席のせいで単位を落としたのも問題で、とにかく生活が雑になってきた感じがある。もちろん丁寧に生活するっていうのは高校のころの頬杖の付きかたや本のページのめくりかたを誰も見てないのにやたら気にすることとは全然関係がないんだけどとにかくそういう類の意識の張り詰めかたがまた要るらしく、もっと焦らなきゃとか中年みたいな考えはたぶん若さの冒涜で、そういえばカニクリームコロッケを長らく食べていない。全然関係ない話が出てきたからたぶんもう書くことなくて、早く寝ようと思う。ちっとも頭がよさそうじゃない文章を書いてしまったな。